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Hair's

2010.09.29   髪かわら版 第29号 2004年03月11日発行

形状記憶

 

 今、綿・羊毛の形状記憶(形態安定)衣料品は、人々の快適性を求める声と共に社会ニーズとして定着し、衣料品に対する美しさと審美性といった生理的な快適性プラス心理的な快適性を強く求める広がりを見せている。また生活テンポの早いライフスタイルから面倒なアイロン掛けを嫌い、衣料品にイージーケア性、水洗いできるノーアイロンの繊維を求める声が強い。一方、水での洗濯はドライクリーニングのように有機溶剤を用いないので環境に優しく、地球環境保全というニーズにマッチしているため、形態安定・形状記憶繊維の製品が増え大ヒットを飛ばし、綿やウールに対する洗いノーアイロンという消費者ニーズが高まっている。
 

  綿、麻、レーヨンなどのセルロース繊維織物は、一般にシワになりやすい。さらに、セルロースやウール織物は縮みやすい。このような繊維特性を改善しようと、防シワ加工、防縮加工の研究が古くから行われてきた。防シワ性を与えるための樹脂加工は、1926年イギリスのTootal Broadhurst & Leeによって考案された「尿素ホルムアルデヒド加工」が最初といわれている。その後、樹脂加工剤や加工方法の進歩により、天然繊維素材にとって不可欠の仕上げ加工にまで普及した。このような背景から、形態安定性の付与技術は、天然繊維素材を対象とするものが主となっている。
 

 綿・麻などセルロース系繊維(再生繊維も含む)への形態安定性の機能付与は、機械的加工、樹脂加工に大別される。機械的加工のうち、サンフォライズ加工は、物理的に圧縮・収縮させ、布の持つ潜在収縮を緩和して防縮性を与える。 マーセル加工とは、綿の苛性ソーダ処理のことで、緊張状態で処理すると収縮が抑制される。 PP加工(パーマネントプレス加工)では、製品に永久的な折り目を付与する。樹脂加工のうち、樹脂架橋はホルムアルデヒドに代表される架橋剤でセルロース分子が架橋固定されるが、最近問題の化学物質過敏症の原因物質の代表格に上げられ、加工衣料着用時の問題が指摘されている。しかし架橋性のない樹脂での加工もある。

 

  ウール・絹など … 動物系繊維(タンパク繊維も含む)では、脱スケール加工・樹脂加工・プラズマ電子線加工に大別される。脱スケール加工は、スケールを化学的に平滑化、柔軟化あるいは除去する。樹脂加工は、樹脂架橋と非架橋性樹脂による加工の2つに大別される。プラズマ・電子線加工は、コロナ放電処理、低温プラズマ処理などがあるが、技術としては未確立の分野である。

 

 合成繊維 … 素材自身が形態安定特性を持っている。
その他、形状記憶ポリマー(繊維)との交織などで機能を付与することも試みられている。

 

 シロセット加工 … CSIRO(豪州連邦科学産業研究機構)で発明されたウール製品の形状記憶加工で、世界20数ヶ国に普及し、日本では1957年に導入された。ウールの風合いを損なうことなく、自然な仕上がりでシャープな折り目を記憶させます。ウール100%またはウールの混紡率の高い製品に優れた効果を発揮します。

 

☆ デジタルカール


 パーマネントウェーブとウール製品に形状記憶させる原理は同じですが、毛髪にカールを形状記憶させる方法は韓国で考案されました。韓国では、日本でも戦前戦後に行われていたのと同様な「電髪」が現在でも施術され、セットが不要という意味合いから「セットパーマ」と呼ばれています。しかし薬品と温度が不適切なため、毛髪のダメージが激しいのが欠点でした。そこで髪に負担を与えない温度で同様な結果を求めるべく、3年ほど前に考案された「デジタルパーママシン」と、当店オーナーが開発したパーマ液とのマッチングが良く、ダメージも無く、毛髪に形状を記憶させると韓国で人気を呼び、当店でも施術するに至りました。
次号ではその理論を簡単に説明します。

                                                                        安藤眞夫


冬の乾燥時の活躍品


 ストーブの上で湯気を噴くやかんといえばひと昔前の冬の風物詩。しかし、エアコンが冬の主役となった現在は、やかんはお役ごめんに。そのやかんの変わりに現れたのが、電気加湿器です。電気加湿器から出る「湯気」がやかんの湯気と同じように部屋を乾燥から守ってくれるというわけですが、不思議なのは、電気加湿器から出る「湯気」に手を近づけても、「アッチ・チ」とはならないことです。ふつう「湯気」は熱いのに、電気加湿器の「湯気」は熱くないのです。さてこれはどうして? そのタネは電気加湿器の中で発生する超音波にあります。超音波とは人間には聞き取ることの出来ない高周波の音波です。人間の耳が聞き取ることの出来る音波の領域はふつう20Hz(ヘルツ)から16kHz(キロヘルツ)とされていますが、超音波はこの16kHzより高い周波数(一秒間に16,000回以上の振動を起す)の波長で、この激しい振動は人間の耳には聞こえない。この激しい揺れを起こす超音波を水中に伝えると、水の分子は激しい振動に絶えきれず、バラバラになってしまい、水分子は液体のままでいることが出来なくて、気化して水蒸気となります。つまりこれが「湯気」となります。この現象を利用したのが電気加湿器です。加湿器の中に入れた水に超音波を当て、「湯気」にしているわけで、水を熱しているわけでないから、この「湯気」は熱くないのです。では超音波をどのようにして発生させるのでしょうか。電気加湿器は「圧電現象」というものを利用しています。ある物質に、交流電流をかけると、加えたのと同じ周波数で物質が振動するというのが「圧電現象」ですが、この交流電流を高周波にすると、音波の方も高周波の音波…超音波となります。超音波というと、昔SF映画に出てくる兵器やトリックに利用されるなど、恐ろしい響きがありましたが、今や部屋の片隅で超音波が生まれている時代です。冬のやかんのように、超音波もやがて冬の風物詩となる時代がくるかもしれません。
  加湿器は乾燥性皮膚炎・乾燥性結膜炎・インフルエンザの予報などにも役立っています。使用方法も水が無くなれば継ぎ足しすればよいですし、運転中の騒音も静かで安価で手には入りますが、超音波加湿器には予期しない欠点がありした。水が汚れやすいという点です。 ? 超音波により、水道水中の殺菌成分の塩素が飛んでしまうので、殺菌効果が無くなってしまう。 ? 仕様書には清掃を定期的にと書いてありますが、電源を入れたままで水を継ぎ足す事が出来るので清掃がおろそかになってしまい、タンク中や本体の水に細菌・カギなどの微生物が繁殖しやすくなります。超音波式加湿器は、大きな粒子を飛ばす事が出来るため、増殖した微生物を空気中にばらまく結果になり、ばらまかれた微生物を肺に長時間吸い込むと、それに対するアレルギーが出てしまいます。

                                                                      安藤加壽代

    

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